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金融コラム 田嶋智太郎 経済アナリスト
新年度入りで強気に転じたドルと日本株
想定していたとおり、新年度入り後の金融市場には前年度末までとは真逆の強気の流れが確認される状況となっている。
 実際、4月初旬あたりからドルと日本株は徐々にリバウンド相場の様相を呈し始め、3月下旬に一時105円割れの水準まで下押したドル/円は5月初旬に一時110円台にまで出直る動きを見せることとなった。また、3月下旬に一時2万円割れ寸前の水準まで下押した日経平均株価は、執筆時点において2万2千円台後半の水準まで値を戻す展開となっている。
 その背景には、一つに本邦機関投資家を中心とする国内投資家による外債売りが3月末までに一巡し、新年度入り後から徐々に新たな資金が外債に向かい始めているという見逃せない事実がある。財務省が週次ベースで公表している「対外及び対内証券売買契約等の状況」を見ても、国内投資家による外債(対外証券中の中長期債)への投資状況は4月第2週以降、基本的に買い越しの状態となっている。つまりは、年初あたりから3月末まで続いていた本邦機関投資家による米国債の損切りに伴うドル売りが一巡し、年度替わりに伴うニューキャッシュでの外債買いとドル買いの動きが出てきたということになろう。
 もちろん、外国為替市場で純粋にドルを買い直そうとする動きが足元で急になってきていることも事実。それは4月に入って複数の世界的政治リスクや地政学的リスクへの懸念が後退したことで、少なくともリスク回避の円買いニーズが低下したこととも関わる。
 ことに、中国の習近平国家主席が市場開放の方針を打ち出したことで、それまで市場に漂っていた米中貿易戦争勃発の可能性に対する警戒が一気に後退したことと、北朝鮮の金正恩委員長が核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験を中止する方針を打ち出したことで、長らく市場に巣食っていた朝鮮半島リスクへの警戒が著しく後退したことが大きかった。
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