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福岡市内には無数の川が流れ、博多湾へと注ぐ。残念なことに、市内のリバークルーズは中洲までを20分ほど上下する単調なもの。落胆して、海辺を走るというオープントップの観光バスに乗った。
 海岸線を西に向かうと、シーサイドのリゾート風のたたずまいが出現する。かつての唐人街は今でも日本有数のチャイナタウンで、御殿のような中国領事館、風格のある韓国領事館が立つ。しかし、ここのスカイラインで一際一目をひくのが、福岡タワー(234m)だ。
 展望階から博多湾越しに大陸を隔てる群青の玄界灘が望めた。大陸棚となっている海産類の宝庫は、冬は季節風の荒れる海域となる。北九州に二度にわたって攻め込んだモンゴル族は、二度とも海上に吹き荒れた「神風」に撃退されたという。
 そして、開国後わずか半世紀、20世紀頭の日露海戦で日本海軍は、ロシア・バルチック艦隊12隻を撃沈。歴史の節目となった戦いが繰り広げられてきた玄界灘。初夏の凪いだその水面下、ドラマティックな何かが起きるような気がした。


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