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ニッチェの目指す作品の意図とその暗喩

 ニッチェにはアクション・パフォーマンス以外にも、ペインティング・ パフォーマンスという、赤や紺、茶、濃緑、黒などの絵の具を大きなキャンバスにぶちまける一連の作品群がある。どれも激しい動きから生み出されたタブローは、血のしたたりや肉体の破壊や暴力を彷彿させる。一般の人にはとうてい理解できないだろうが、「目指すところは人間がもつあらゆる欲望、残忍性、性癖、狂気などからの解放。それに伴い歓喜から来る覚醒」と彼は言う。それはまた、ヨーロッパ文明に長く根付き、刷り込まれたキリスト教という既成概念や固定観念からの脱却とも受け取れないだろうか? ヨーロッパ文化はキリスト教の影響下のゆえ、初めに言葉ありき、の世界観でもある。ゆえに現代美術が存在する価値のひとつは、言葉では置き換えられないエネルギーや真実を伝える手段であるとも言えるのだ。
 ところで羊はその性格から家族の安泰と平和な暮しに喩えられる。羊のような良い年になることを心から願ってやまない。 

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ホルモン関根
現代美術家・パフォーマー。
青色を平和と安心の象徴にした作品を制作。
日本のみならずプラハ国立美術館「現代美術国際トリエンナーレ2008」をはじめ、ブダペスト、ベオグラード、イスタンブールなどの国際展に招待。
現在、スウェーデンの Yoshio Nakajima Museum にて個展を開催中
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