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 猟奇犯は猟奇犯の心理を知る。だが、レクターのプロファイリング(犯罪情報分析)を得る代わりに、クラリスは自らの過去を明かさなければならなくなる。つまり、レクターはクラリスに興味を抱き、精神科医として“カウンセリング"遊びに興じ始めるのだ。過去をひとつ話すごとに犯人を見つけるヒントを与える、奇妙なゲーム。そこから生まれてくるのは、反発と共感がないまぜになった“恋愛初期"にも似た関係性。やがて、二人の対話を通してクラリスのこんな過去が浮上する。
 すなわち、クラリスは両親を早くに亡くしていた。特に警察署長であった父親を殉職で失ったことは、大きな心のキズとなっており、彼女がFBI捜査官を目指している事実がそれを如実に物語っている。10歳のとき、親戚の牧場に預けられ、ある朝の明け方、屠殺されていく子羊の悲鳴をクラリスは耳にする。屠殺は家畜の運命ではあるが、幼い彼女は助けようとゲートを開け、逃がそうと試みる。が、事態は変わらず、羊たちは“沈黙"するばかり。ついには1匹を抱いて家を出るが、保安官に捕まり、子羊は結局殺され、彼女は施設送りになった。そして今でも時折、「子羊の悲鳴」が聞こえるのだという。「子羊の悲鳴」とは無力であった自分のこと、クラリスの長年の“トラウマ"の謂である。
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