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医学への応用

 羊の原毛をウールに仕上げる際に、副産物として回収される蝋状物質(羊毛脂)がラノリンである。抱水性に優れており、自重の2倍量の水と混和することができる。また、皮膚粘着性が良く、軟膏剤の医薬品添加物や、化粧品などの基剤として用いられている。
 医学の分野では、遺伝子組み換えによって「乳中に薬品となるヒトのタンパク質を分泌する羊」を作出する研究も行われたが、世界初の体細胞クローン哺乳動物「ドリー」が、その研究の一環として作出されたことは意外と知られていない。羊はこれまでの畜産の枠を超え、医学への応用という全く新たな方向へ歩みだした。私たち人間の古きよき伴侶である羊に、新たな人類の未来を期待したい。

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川田啓介
「牛の博物館」上席主任学芸員。
家畜育種学、家畜文化史を研究している。
東京農業大学農学部畜産学科を卒業後、岩手県奥州市にある「牛の博物館」に学芸員として勤務。
2003年同館にて「家族で楽しむ企画展2003 羊は牛ですか?」を企画。
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