
■時価
国外財産の価額は、該当年12月31日における「時価」または「見積価額」によるもの。見積価額については、例えば不動産のように時価の算定が困難な場合に、代替的に利用することが認められている。用いるべき見積価額についても資産に応じてガイドラインが定められている。
■外貨預金
円貨、外貨にかかわらず預け入れをした金融機関の所在地で判断する。つまり、外国銀行を含む金融機関の国内支店に預け入れた外貨預金は国外財産調書の対象にはならない。
■有価証券等
海外を本店とする会社の株式、いわゆる外国株が該当する。その株式を国内の証券会社等の口座で管理していると、対象にはならない。それ以外、つまり日本株および外国株ともに国外の証券会社等の口座で管理している場合は対象となる。
■不動産
有価証券と異なり、所在地が国外にある不動産は、たとえ国内の販売業者を通じて購入したものであっても対象になる。また海外のコンドミニアムのように、土地と建物の区分が不明な場合は、不動産一体として合計価額で捉えられる。
■海外ホテルのタイムシェア権利
ハワイのホテル等のタイムシェアに関する預託金も対象となる。
■JT名義の共有不動産
「JT」とは「JOINT TENANCY(共同保有)」の略。例えば夫婦でJTとして不動産を所有している場合、それぞれが50%の持ち分を所有しているとみなし、個別に対象になるかどうかが検討される。実際には夫が100%全額負担しているのに夫婦でJT所有していると、日本の贈与税が課される。
■今まで提出していなかった場合
調書を提出することになった年度にさかのぼって調書を作成・提出するとともに、該当財産の中に株式や賃貸不動産があり、過去の配当や賃貸収入を申告していなかった場合は、調書の提出と併せて過去の修正申告を行う必要がある。
■邦貨換算の方法
国外財産の邦貨通貨への換算は、その年の12月31日時点の外国為替TTBで行う。同日がマーケットクローズの場合は、その日より前で直近日の当該相場で行う。
■税務調査の現況
国外財産調書を提出している場合、原則として税務調査が実施される。当事務所の例を挙げると、事前に税務署から日程調整の連絡を受け、1日程度の現場調査が行われる。その後、税務署所内で書類の確認・追加質問等の手続きをする。調査の終了まで短くて1カ月、長いと3、4カ月程度かかっている。
参考資料:国税庁平成28年10月25日「国税庁国際戦略トータルプラン」 同国外財産制度の提出制度(FAQ)