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永峰・三島会計事務所
の海外投資と税講座
第1回
Text Junko Chiba
海外資産を所有する人は確定申告への備えを万全に
確定申告の季節がやって来た。“今年のトピック"として留意するべきは、富裕層を中心に近年増加する「海外資産」に絡む問題だ。これに関連する諸制度について、3回にわたって解説していこう。
 背景として知っておきたいのは、国税庁が2016年10月に公表した「国際戦略トータルプラン」。これに、富裕層による国際的な租税回避行為を捕捉するための諸制度、つまり100万円超の国外との送受金に関する「国外送金等調書」、5000万円超の「国外財産調書」、3億円超の「財産債務調書」に加えて、2017年1月から施行された「金融口座情報の自動的交換」などを積極的に用いていくことが明記されている。理由は「昨年6月末までの1年間で富裕層の申告漏れ所得516億円の内168億円が海外取引絡み」であったこと。要するに税の取りはぐれを減らすための施策が打ち出されたわけだ。
 すでに2014(平成26)年1月以降の提出分から、「その年の12月末現在で5000万円を超える国外財産を保有する日本居住者は、翌年3月15日までに『国外財産調書』を税務署長に提出する」ことが義務付けられている。所得税の納税義務がない場合でも提出が必要だ。調書に偽りの記載があったり、提出期限を過ぎた場合は1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられることになっている。また、国内外の財産を合わせて3億円以上有するなど、一定の条件を満たしていて、かつ確定申告書を提出しなければならない個人は「財産債務調書」の提出が、2015(平成年12月31日保有分から適用されている。
 このように海外資産に対する法規制が厳しくなっている現状にあっても、「国外財産調書」の提出状況は、2015(平成27)年分で8893件、3兆1643億円、内有価証券の構成割合が約5割であり、この数字から判断して国税庁は「未提出の個人がまだ相当数いる」と踏んでいるようだ。だからこそ咎(とが)を受ける前に相応の対応が求められるのである。
 以下、「国外財産調書制度」に関して、注意点を九つ挙げておこう。参考にしていただきたい。
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