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(左から)グループ会社のかりゆし福寿ファームが名護市の豚舎(現在、約120頭)で育てた「かりゆし豚」。肉は柔らかく、脂身がさらっとしている。通常は6カ月で出荷するが、ここでは10カ月まで育成する。自然交配、抗生剤を与えない、乳酸菌で腸内環境を整えるなど、安全・安心な肉作りを実践する。/野菜はかりゆしのファームもしくは地元の契約農家で生産されたものが中心。ゴーヤ、トマト、ハンダマ(スイゼンジナ)、レッドキャベツ、島ラッキョウ、ニガナ、黄ニンジン、ヨモギなど、取れたての新鮮な味わいが魅力。デザートにも使われる。/「海人の宝」のメインディッシュ、「名護湾近海で獲れた鮮魚のヴァプール」。マダイのポアレやムール貝、アサリ、小柱などがトマトソースに彩られた華やかな一皿だ。/ダイニング天で腕をふるう料理人。左は東京・ドイツのヒルトンホテルで修業した名嘉真 勉氏、右は具志堅 茂氏。「地のものをふんだんに使って、沖縄ならではのおいしさ、香りを伝えています」とにこやかに語る。
沖縄の商品は海だ
大学時代に友人と湘南海岸へ遊びに行った時、平良氏は思わず「ここで泳ぐの? これは海じゃあないよ」とつぶやいた。いぶかる友人たちに「海を見せてやる」と沖縄に招いたところ、彼らはすぐに「お前の言うことがよく分かった」と納得したそうだ。氏はこの時、「海を商品として開発すれば、必ず観光が沖縄の業として成り立つ」という思いを強くした。そして海洋博の頃からいい海岸を探し回り、白い砂浜が続く恩納海岸沿いの最北部にあるドライブインが売りに出ているという情報をキャッチ。「親父に相談もせずに即、購入を決めた」という。
 「ただね、ビーチにホテルを造るという夢はついえました。勇み足といいますか、その一帯は沖縄海岸国定公園に指定されていて、ホテル開発をするには極めて規制の多いエリアだったのです。でも土地を遊ばせておくわけにはいきません。81年に『ドライブインかりゆし』を開業し、マリンレジャーの豊富なプログラムをそろえて、那覇のホテルからここまでビーチバスを走らせることにしました。銀行は『誰が1時間半もかけて泳ぎに行くんだ』と融資を渋りまして、『本土の人は湘南で泳ぐために車で往復5、6時間かけるんですよ。1時間半なんて、隣の家に遊びに行くようなものです』などと口説いたことを覚えています」
 平良氏の思惑通り、“ビーチバス計画"は大当たり。それでもリゾートホテルへの夢は諦められない。どうしようかと考え、ビーチを散歩していたある時、手付かずの山がたくさんあることに気づいた。田中角栄総理の「日本列島改造論」の下で沖縄でも開発ブームに乗って不動産の買い占めが進んだものの、オイルショックなどのあおりを受け、そこへ土地保有税が追い打ちをかけて、その頃、不動産会社は売りのタイミングを計っていた。そこで氏は、恩納ビーチを望むのに絶好の山を保有する不動産会社に掛け合い、「一瞬にして10万坪の土地を手に入れた」。沖縄の海を知り抜く氏だからこそ、何もない山に「上に行くほど、美しい海の景観が広がる」という商品価値を見いだせたのだろう。
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