
てしま・りゅういち
NHKの政治部記者として首相官邸や外務省を担当した後、ワシントン特派員として米国に赴任。ホワイトハウスや国防総省を担当し、東西冷戦の終焉に立ち会う。湾岸戦争では戦争特派員として最前線へ。その後、ハーバード大学の国際問題研究センターに招聘される。NHKドイツ支局長を経て、8年間にわたってワシントン支局長を務める。この間、ブッシュ大統領を始め、要人の単独インタビューを数多く手掛けた。2001年9.11の同時多発テロ事件に遭遇し、11日間の昼夜連続の中継放送を担い、冷静で的確な報告で視聴者の圧倒的な支持を得た。2005年NHKから独立し、2006年に日本で初めてのインテリジェンス小説『ウルトラ・ダラー』(新潮社)を発表。姉妹編『スギハラ・ダラー』(新潮社)と合わせて50万部の大ヒットに。2013年12月には、佐藤優氏と尖閣問題などを論じた『知の武装―救国のインテリジェンス―』が新潮新書として出版された。
NHKの政治部記者として首相官邸や外務省を担当した後、ワシントン特派員として米国に赴任。ホワイトハウスや国防総省を担当し、東西冷戦の終焉に立ち会う。湾岸戦争では戦争特派員として最前線へ。その後、ハーバード大学の国際問題研究センターに招聘される。NHKドイツ支局長を経て、8年間にわたってワシントン支局長を務める。この間、ブッシュ大統領を始め、要人の単独インタビューを数多く手掛けた。2001年9.11の同時多発テロ事件に遭遇し、11日間の昼夜連続の中継放送を担い、冷静で的確な報告で視聴者の圧倒的な支持を得た。2005年NHKから独立し、2006年に日本で初めてのインテリジェンス小説『ウルトラ・ダラー』(新潮社)を発表。姉妹編『スギハラ・ダラー』(新潮社)と合わせて50万部の大ヒットに。2013年12月には、佐藤優氏と尖閣問題などを論じた『知の武装―救国のインテリジェンス―』が新潮新書として出版された。
手嶋氏の話から推して、けやき坂周辺に出没するインテリジェンス・オフィサーは、どうやら米国系がほとんどらしい。“知りたがり屋のジョージア"が出会った英国人は、かなりのレアものということになる。
「ひと昔前の六本木は、ニューヨークのライブラリー・ホテル周辺のような雰囲気を漂わせた、実に都会的な街でした。時おり、スレンダーな、はっとするような美人を見かけたものです。ベネチア生まれのモデルが、品のいいバーテンダーと一人話し込んでいた。キース・ジャレットの曲が流れていて、心地いい地下のバーもあったなあ」
世紀の名馬ディープインパクトを産んだノーザンファームを本拠にする手嶋氏。六本木はその牧場が本拠を構える地元でもある。有力な馬主たちが贔屓にしたフレンチまっくろうは、自身もマックロウの馬主だった今は亡き女性がオーナーだった。イタリアンの名店キャンティは健在だが、そこに勤めていた人たちは日本の各地で、キャンティのDNAを伝えていると手嶋氏は言う。
「例えば、神戸のハンター坂にある港町のしゃれたバー、バンブー。オーナーは、多くのミュージシャンでにぎわった時代にキャンティにいた人です。半地下の窓から、らせん状の階段をチャイナドレスの女性が下りてくる様子が見えて素敵です」
街には独自のコミュニティーが根付いていなければつまらない。手嶋氏が今住むなら金沢辺りだという。
「うまい店があり、酒もいい。街の佇たたずまいも整っており、何より美しい人が多い――。これは僕が言っているんじゃない。我が小説の主人公で英国秘密情報部員のスティーブンがそう太鼓判を押しているんです」
シックな大人たちが集ったかつての六本木が新たな装いで今に蘇よみがえってほしい――手嶋氏が、いや英国のインテリジェンス・オフィサーがそう言っているように思えてならない。
「ひと昔前の六本木は、ニューヨークのライブラリー・ホテル周辺のような雰囲気を漂わせた、実に都会的な街でした。時おり、スレンダーな、はっとするような美人を見かけたものです。ベネチア生まれのモデルが、品のいいバーテンダーと一人話し込んでいた。キース・ジャレットの曲が流れていて、心地いい地下のバーもあったなあ」
世紀の名馬ディープインパクトを産んだノーザンファームを本拠にする手嶋氏。六本木はその牧場が本拠を構える地元でもある。有力な馬主たちが贔屓にしたフレンチまっくろうは、自身もマックロウの馬主だった今は亡き女性がオーナーだった。イタリアンの名店キャンティは健在だが、そこに勤めていた人たちは日本の各地で、キャンティのDNAを伝えていると手嶋氏は言う。
「例えば、神戸のハンター坂にある港町のしゃれたバー、バンブー。オーナーは、多くのミュージシャンでにぎわった時代にキャンティにいた人です。半地下の窓から、らせん状の階段をチャイナドレスの女性が下りてくる様子が見えて素敵です」
街には独自のコミュニティーが根付いていなければつまらない。手嶋氏が今住むなら金沢辺りだという。
「うまい店があり、酒もいい。街の佇たたずまいも整っており、何より美しい人が多い――。これは僕が言っているんじゃない。我が小説の主人公で英国秘密情報部員のスティーブンがそう太鼓判を押しているんです」
シックな大人たちが集ったかつての六本木が新たな装いで今に蘇よみがえってほしい――手嶋氏が、いや英国のインテリジェンス・オフィサーがそう言っているように思えてならない。