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 6月下旬に行われた英国民投票において欧州連合(EU)からの離脱が決まったことの衝撃(ブレグジット・ショック)により、日経平均株価が一時1万5000円の大台を割り込んだときにもそのチャンスはあった。思えば今年の2月にもチャイナ・ショックの煽あおりで1万5000円割れとなる場面があり、後に日経平均株価は一時1万7600円台までの大幅な戻りを見たのであった。
 なお、ブレグジット・ショックではドル/円が99円まで大幅に下落するという場面もあった。しかし、その約1カ月後には107円台半ばまで大きく値を戻す場面もあったのだ。
 執筆時の市場では、9月下旬に日程が組まれる米連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに踏み切る可能性と、日銀金融政策決定会合で追加緩和策実施の決定が下される可能性というのが投資家にとって最大の関心事となっている。仮にFRBも日銀も共に政策の現状維持(=据え置き)を決めるとするならば、やはりいったんは円高・ドル安、日本株安の方向に相場が振れる可能性もあろう。
 しかし、そこは再び「恐怖の報酬」を得るチャンスが期待されるところであり、ドル/円や日経平均株価などの押し目はしっかり拾っておきたいところでもあると考える。
 逆に、FRBや日銀の政策決定によってドル/円が105円超、日経平均株価が1万7500円超などといった水準を試すような展開となれば、いよいよ長らく形成してきた“大底圏"から脱出するときを迎えたと考え、そこから始まる強気の流れに「順張り」の姿勢でついて行きたい。
(左)生き残る銀行が地域を救う!?
 アベノミクスの大きな柱である財政政策や日銀の大規模金融緩和などのマクロ施策が、どれも地方で政策効果を発揮できていないのは何故か。それは「地域金融機関が地元企業の事業を見なくなったことで、新たな資金需要を生みにくい構造問題を生じさせてしまったことに元凶があるのでは」と著者は手厳しい。逆に言えば、そこに地域経済活性化のヒントがある。既に動き出している地域金融機関の実例も大いに参考としたい。
『捨てられる銀行』橋本卓典/講談社現代新書/ 864円
(右)たじま・ともたろう 金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産形成まで、幅広い範囲を分析、研究。講演会、セミナー、テレビ出演でも活躍。tomotaro-t.jimdo.com
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