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「伝統を守るために、今、挑むべきことがあります」
『NINAGAWA十二夜』がこれだけの称賛を獲得した理由のひとつに、シェイクスピアの原作を日本の時代物に置き換え、歌舞伎ならではの言い回しや所作をいかした点がある。それは菊之助の古典に対する敬意の表れだった。「歌舞伎は、数百年の時の中で完成されてきた文化。まずは、それを継承することが大切だと考えています。一方で、古典の知識がなくても楽しめる新作を作ることで、多くの方に歌舞伎に親しんでいただくことも必要だと感じています」。『十二夜』を選んだのは、「男性が女性を演じたり、早替わりをする場面があり、歌舞伎で魅力的に表現できる」と考えたからだ。「シェイクスピアならロンドンで公演してみたいというのは、ずっと考えていた夢。400年の文化の融合を味わうことができて、大きな達成感を覚えています」。ひとりの俳優として、伝統の継承を担う歌舞伎役者として。菊之助の挑戦は始まったばかりだ。「伝統を守るために、するべきことがあります。新しいものを生み出そうとする限り、歌舞伎は必ず残っていくと思います」。
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