
公演詳細は『NINAGAWA十二夜』公式サイト http://www.kabuki-bito.jp/
尾上菊之助が変幻自在の演技で魅せる、はかなく美しい幻想世界
端整な美貌と匂い立つような色気をまとい、女形と立ち役の双方を演じ分ける尾上菊之助。近年、その妖艶なまでの美しさと力量にいっそうの磨きがかかり、有無をいわせぬ風格を帯びてきたように見える。『NINAGAWA 十二夜』のロンドン公演で、菊之助はその持てる力と魅力とを遺憾なく発揮した。男女3役を担う変幻自在の演技力、研ぎ澄まされた所作、そして見る者を魅了する凛とした存在感。それは、舞台上に桜の木をあしらい、はかなく美しい日本ならではの情趣を表現した蜷川の演出とあいまって、観客の心を一瞬にして惹き込んでいく。4年前の初演と比べても格段にスケールを増した同作が、6月からいよいよ日本でも公演される。歌舞伎という伝統の世界で時代を超えて受け継がれ磨かれてきた菊之助の名演にぜひ、注目したい。