

(左)波打ち際に復元されていた古代ポリネシアの宗教遺跡、マラエ。シンプルなものだが、積み上げられた石は、一介の旅人が立ち入ることを許さない威厳をたたえている。(右)ポリネシアの人々によって建てられた教会ステンドグラスには、裸でウクレレを奏でる島民が描かれていた。
タヒチの黒砂、モーレアの白砂。
その彼方のバリアリーフ
その彼方のバリアリーフ
石で彫られた一体のティキ像が、怒っているような、あるいは半ば泣いているようにも見える表情で、じっと海を睨んでいる。ポリネシアの精霊で守り神のティキは、古代航海術で行なわれる祈りを表しているのか、祭礼の象徴なのか。いわゆる観光用のエクステリアとしてではない、これぞというような歴史を感じさせるティキに出会ってみたいとも思うのだが、島の人々からは、そういったものは博物館に行けばあるだろうよ、という冷めた答えが返ってくるばかりだ。そしてどんな小さな村にも必ず、キリスト教会の建物がランドマークとなって存在していた。ポリネシアの人々の手によって建てられた教会も多く、西欧の教会には見られない明るい色使いや南国らしい装飾に彩られている。一方で、マラエと呼ばれる古代ポリネシアの祭祀殿跡が、ひっそりと復元されている光景も目にした。
かつてはラグーンに突き出した石積みの上で酋長の権力の象徴として栄えたマラエも多かったという。目の前のものが復元遺跡とわかっていても、わずかではあるがそこだけ空気のトーンが落ちていて、しかし決して朽ち果てているのではない、不思議なパワーの聖域にも感じられる。
モーレア島での日々の大半は、部屋のテラスに寝転びながら、もっぱら海からの風に吹かれていた。何もしない贅沢がよく似合う島のようで、夕暮れ時には、パンダナスの葉で葺いた可愛らしい屋根が並んだ水上コテージのシルエットを飽きもせず眺めていた。沖合でサーファー好みの大波を返しているバリアリーフは、島の成り立ちに伴い、年月をかけて形作られるという。足元のラグーンは常に色味を変えながら満ち引きを繰り返して、愛らしい魚達に混じって時折、レモンシャークという大人しい種類のサメやマンタが悠然と横ぎっていく。
かつてはラグーンに突き出した石積みの上で酋長の権力の象徴として栄えたマラエも多かったという。目の前のものが復元遺跡とわかっていても、わずかではあるがそこだけ空気のトーンが落ちていて、しかし決して朽ち果てているのではない、不思議なパワーの聖域にも感じられる。
モーレア島での日々の大半は、部屋のテラスに寝転びながら、もっぱら海からの風に吹かれていた。何もしない贅沢がよく似合う島のようで、夕暮れ時には、パンダナスの葉で葺いた可愛らしい屋根が並んだ水上コテージのシルエットを飽きもせず眺めていた。沖合でサーファー好みの大波を返しているバリアリーフは、島の成り立ちに伴い、年月をかけて形作られるという。足元のラグーンは常に色味を変えながら満ち引きを繰り返して、愛らしい魚達に混じって時折、レモンシャークという大人しい種類のサメやマンタが悠然と横ぎっていく。

モーレア島内でも随一の水の透明度を誇る「ナンバーワンのラグーン」内に建つソフィテル・モーレア・イアオラ・ビーチリゾートの水上バンガロー。