
(左)老舗のガストロノミック「ル・ココス」。コロニアル調の店内で極上のヌーヴェル・フレンチを楽しめる。(中)ル・ココスで楽しめる「茄子のミルフィーユ」は、白ワインに合わせたい美味なヌーヴェル・フレンチの代表格。(右)タイナマリーナのカジュアルフレンチ「ピンク・ココナッツ」は上質のサービスで地元の人々にも人気が高い。
南太平洋のシーフードとフランス料理との融合は、フレンチポリネシアを愛する我々にとって、最も価値ある幸せのひとつだろう。新鮮な魚の切り身をライムで締めたマリネ=ポワソンクリュを、辛口のフランス産白ワインで。柔らかなマヒマヒのソテーを、目の覚めるような彩りのソースとともに。さらに喜ばしいことには、マグロやカツオは「サシミ」という名のまま存在し、豪快な切り身で登場する。夕暮れを待ちきれずに、タヒチ・ヌイの西、プナアウイアという町の閑静な住宅街の中に佇むフレンチの老舗「ル・ココス」を目指した。地元のセレブリティ達からも愛され続けるこのレストランでは、ノルマンディー出身のオーナー、ティエリ氏とバスク地方出身のシェフ、コビルト氏によるロマンティックなヌーヴェル・フレンチの数々に出会うことができる。芝生の前庭に面したテーブルで、この日の前菜に登場した「茄子のミルフィーユ」もまた斬新な発想の作品だった。山羊のチーズと青リンゴの純白のムースが豪快に重ねられ、心底イマジネーションを揺さぶられるものだ。