
春到来 日本のオーベルジュへの誘い
Text Keiko Nagahashi

自然環境に恵まれたロケーションは“オーベルジュ”の必須条件。清らかな澄んだ空気の中で味わう料理は一段と美味しく感じられることだろう。
自然が味わえる場所、オーベルジュとは
緑豊かな郊外や地方に佇む宿泊設備を備えたレストランを意味する“オーベルジュ”。主役はあくまでもその土地の素材を活かした料理であり、食事を堪能する空間に、宴の楽しみや滞在のくつろぎを盛りこんだ施設と格付けされている。中世に美食大国フランスで発祥したといわれる“オーベルジュ”が、人々の注目を浴びるようになったのは20世紀のこと。 1900年に創刊した“ミシュラン・ガイド”が、星つきレストランのランキングを1926年にスタートし、自動車の普及とともに地方にある“オーベルジュ”の知名度も高まった。地元の気候風土に精通したシェフならではの創意工夫に富んだ料理はもちろんのこと、心ゆくまでワインを味わうことができる、それが“オーベルジュ”の醍醐味。都会の喧騒から離れ、季節を五感で感じながら極上の美味を堪能する。そんなお気に入りの“オーベルジュ”をいくつか持つことは、最高の贅沢なのかもしれない。