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また、今回の政策会合で日銀が具体的な政策対応に乗り出さなかったことは、結果的に日本政府による大胆な政策対応の呼び水にもなる。逆説的ながら、足元で日本経済が窮地に陥れば、それだけ政府は大掛かりな対応に乗り出しやすくなり、当然、いずれはその効果が目に見えて現れることとなるだろう。このほど日本政府は、熊本県を中心とする震災への対応を優先するため、衆参同時選挙を見送る意向を固めた。それでも、7月に参院選が控えていることに変わりはなく、政府与党にしてみれば、景気が足踏み状態で株価が低迷したままの状態で、参院選に突入するのは得策でないと考えることだろう。かといって、いたずらに日銀が円安を誘導するような策を講じるのは、ドル高の再来に伴う世界経済の不安定化を招く可能性があることから、かえって日本にとってマイナスとなりかねない。
 2017年4月に予定される消費再増税の是非を判断することも含め、近く日本政府がより大胆で本腰の入った経済対策を打ち出すことは、本来何よりも優先されるべきことであり、期待される効果は非常に大きいと言える。総じて、当面の円高・株安進行がたとえ目先の「損」であったとしても、回り回って「得をとる」という姿勢が最も重要なのであろうと思われる。
(左)「日本に活路はあるか」を再考する!
金融経済ジャーナリストとして傑出した存在と言える著者が、現在進行形のドラマを極めてリアルにリポートする。誰もが気になる中国の行方や話題の日銀マイナス金利、米大統領選や消費増税の行方などに深く鋭く切り込んだうえで、最終章では「日本の活路」に関わる重要なヒントを提示している。全編にわたって読者を大いにうならせる必読の一冊と言えよう。
『世界経済大乱』滝田洋一著/日本経済新聞出版社/918円
(右)たじま・ともたろう 金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産形成まで、幅広い範囲を分析、研究。講演会、セミナー、テレビ出演でも活躍。tomotaro-t.jimdo.com
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