3月初旬には複数のメディアによって「日本政府が2016年度予算成立後、3月下旬にも緊急経済対策の具体案の調整に着手する模様」と報じ、まずは「国際金融経済分析会合」の初会合が3月16日に開催される運びとなった。この会合は5月下旬に開催される伊勢志摩サミットまでに5回程度開かれる予定であるとされている。開催国の名に恥じぬよう、政府は盛りだくさんな景気刺激策を手土産にしてサミットに臨むことが期待される。
ここに、一つ興味深いデータがあるので提示しておきたい。東京証券取引所によれば、2月下旬までの間にいわゆる「裁定買い残」は大幅に減少。3月2日に発表された2月26日時点の「裁定取引に伴う現物株の買い残高(期近・期先合計)」は1兆8343億円と、昨年12月4日時点の3兆6306億円から大幅に減っていることが判明したのだ。
ちなみに、裁定取引とは一般に「日経平均(現物)と日経平均先物を用いて“サヤを取る取引"」を指す。その大半は、先物と日経平均株価の価格差が「一定以上開いた時」に割高な先物を売って現物を買うという方法が用いられることとなり、株価の上昇局面においては結果的に「裁定の(現物)買い残」が積み上がる。
振り返れば、昨年12月1日に日経平均株価は一時2万円超の水準まで値を戻す場面があった。そして、前記のとおり当時の裁定買い残は膨大な水準にまで積み上がっていたのである。それが、足元で2兆円割れの水準まで減少したというのであるから、そこには「昨年12月初旬以降の株価下落に伴って、投資家が持ち高の整理を相当に進めた」という事実がクッキリと浮かび上がる。その結果、むしろ今後は一定の期間にわたって裁定の買い残が積み上がっていく時間帯になると見通されるわけだ。その意味でも、当面は日経平均株価に一定のリバウンドが生じる可能性が高いと考えることができる。
ここに、一つ興味深いデータがあるので提示しておきたい。東京証券取引所によれば、2月下旬までの間にいわゆる「裁定買い残」は大幅に減少。3月2日に発表された2月26日時点の「裁定取引に伴う現物株の買い残高(期近・期先合計)」は1兆8343億円と、昨年12月4日時点の3兆6306億円から大幅に減っていることが判明したのだ。
ちなみに、裁定取引とは一般に「日経平均(現物)と日経平均先物を用いて“サヤを取る取引"」を指す。その大半は、先物と日経平均株価の価格差が「一定以上開いた時」に割高な先物を売って現物を買うという方法が用いられることとなり、株価の上昇局面においては結果的に「裁定の(現物)買い残」が積み上がる。
振り返れば、昨年12月1日に日経平均株価は一時2万円超の水準まで値を戻す場面があった。そして、前記のとおり当時の裁定買い残は膨大な水準にまで積み上がっていたのである。それが、足元で2兆円割れの水準まで減少したというのであるから、そこには「昨年12月初旬以降の株価下落に伴って、投資家が持ち高の整理を相当に進めた」という事実がクッキリと浮かび上がる。その結果、むしろ今後は一定の期間にわたって裁定の買い残が積み上がっていく時間帯になると見通されるわけだ。その意味でも、当面は日経平均株価に一定のリバウンドが生じる可能性が高いと考えることができる。

(左)THIS MONTH RECOMMEND 強い説得力が光る豪華な対談
本書では、アベノミクスの理論的指導者である浜田氏とノーベル経済学賞受賞者で辛口のコラムニストとしても知られるクルーグマン氏の豪華な対談が、適切なワードを用いて非常にわかりやすく翻訳されている。ともに「国民の生活に寄与し、正しい経済理論については譲歩しない」というMIT の精神にのっとり、現在進められている日米の政府・当局による政策がいかに有用であり、有効なものであるかが強い説得力を持って語られている。
『2020 年 世界経済の勝者と敗者』浜田宏一、ポール・クルーグマン著/講談社/ 1,728 円
(右)田嶋智太郎(たじま・ともたろう)
金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産形成まで、幅広い範囲を分析、研究。講演会、セミナー、テレビ出演でも活躍。 tomotaro-t.jimdo.com
本書では、アベノミクスの理論的指導者である浜田氏とノーベル経済学賞受賞者で辛口のコラムニストとしても知られるクルーグマン氏の豪華な対談が、適切なワードを用いて非常にわかりやすく翻訳されている。ともに「国民の生活に寄与し、正しい経済理論については譲歩しない」というMIT の精神にのっとり、現在進められている日米の政府・当局による政策がいかに有用であり、有効なものであるかが強い説得力を持って語られている。
『2020 年 世界経済の勝者と敗者』浜田宏一、ポール・クルーグマン著/講談社/ 1,728 円
(右)田嶋智太郎(たじま・ともたろう)
金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産形成まで、幅広い範囲を分析、研究。講演会、セミナー、テレビ出演でも活躍。 tomotaro-t.jimdo.com