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 一方、金融政策というものは「常に景気の後追い」となるのが宿命である。それは、景気の先回りをしてしまっては“元も子もなくなる"からであり、結果として本格的な政策対応に乗り出す頃には「すでに景気が猛スピードで走り始めている」といったことになる可能性が高い。実際、2004年6月から2006年6月までの間にFRBが連続利上げを実施したときもそうであった。
 つまり、当初は経済の成長度合いも利上げのペースも少々不安になるほど緩慢なものに映るだろうし、そうした時間帯のなかでは対円でのドル高も進みにくい。むしろ、先行き不透明感や外部要因などによって、いったんはドル/円が調整する可能性もあろう。
 とはいえ、当初は緩慢にさえ映る米利上げのペースも年後半にはグンと頻度が高まってくる可能性が高い。その一方で、日銀は“異次元緩和"の出口を探るどころか、場合によっては追加緩和に踏み切らざるを得なくなる可能性もある。FRBと日銀の金融政策の方向性の違いはあまりにも大きいため、今後一時的にドル/円が調整したとしてもその下値はおのずと限られるだろうし、調整が一巡して反発に転じた後には大きく上値余地を広げると考えられる。
 良かれあしかれ、日経平均株価を構成する225社全体の収益に対する円安の貢献度は大きく、今後「いったんはやや円高→転じて一気に円安」という展開になるならば、当面の安値は魅力の水準として投資家の目に映ることになるものと考える。
(左)THIS MONTH RECOMMEND
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(右)田嶋智太郎(たじま・ともたろう)
金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産形成まで、幅広い範囲を分析、研究。講演会、セミナー、テレビ出演でも活躍。 tomotaro-t.jimdo.com
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