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新築マンションの高騰は山手線内とその周辺、中でも青山、番町、代官山といった場所が局地バブルと言われており、1億円以上の物件が次々と完売。一方で、ある調査では賃貸住居の空室率が千代田区で36%、中央区で27%を超えているという。こうしたことを背景に、相続税における不動産の評価方法の改正も進められている。そのための公聴会が既に行われ、数年内に新しい通達が出されるようだとか。となると、都心部のAグレードの住居は、今は買い時ではないということだろうか。
「いえ、余裕があれば資産としてはキープすべきです。変動はあるものの、不動産資産は決してゼロにならない。そして、銀行金利よりも利回りはいい。加えて、相続税対策にもなる。また、形あるものを所有しているという、実体のある満足感が伴うので、精神的にもいいですね」
 こうした、資産価値を生み出す住宅不動産はどう見極めるべきか。
「ニッチなものを探すのもいいでしょう。例えば、代々木上原あたりの閑静な小規模マンションとか、地の利が良く管理組合がしっかりしており、10年以上分譲価格が安定しているヴィンテージマンションとか。もちろん、相性のいい仲介担当と巡り合うことも鍵になります」
 国内に限らず、海外の不動産にも目を向けて見ることも勧めている。
「日本のように人口動勢などからも大きな経済成長を望めない国ではなく、今後の成長が見込まれる若い人口の多い近隣アジア諸国など。個人的にはインドネシアのバリ島あたりに注目している。中国経済の不況観測を受けてインドネシアルピアが下がり、物件は安くなっている。そして、10~30%の高利回りが得られます。が、全てハイイールドな運用には、リスクは伴います」
 日本においては、5000万円以上のマンションの売れ行きはほぼ日経平均と連動し、利回りを計算した投資物件は、特に影響を受けるという。今後は、消費税の追加、米国金利の上昇なども不動産価格を大きく左右することになりそうだ。
 榊氏自身は所有していた物件は既に売却している。「株価と同じで、上昇した時に売却するのが資産運用の基本ですが、資産価値のあるいい不動産はじっくり持つのも手です」
 仕事柄、都内の新築マンションはほぼ全て視察している。最近は衰退した商店街が増え、資産価値の下がった商店街に、突如タワーマンションが登場するケースもある。
「サザエさんやちびまる子ちゃんのようなコミュニティー生活がなくなりつつあるのは、寂しいですね」
 榊氏の父親は京都市内で古書店を経営していたとか。マネーゲームとは無縁の家を語る時、榊氏の表情がやさしく和んだ。
榊 淳司(さかき・あつし) 榊マンション市場研究所・主宰
1962年京都府生まれ。同志社大学法学部・慶應義塾大学文学部卒業。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる。一般の人々には分かりにくい業界内の情報や、マンション分譲事業の仕組み、現場担当者の心理構造などをブログ上で解説。著書に『やってはいけないマンション選び』(青春出版社)などがある。
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