中国の動き
そうした中で、世界中が危惧するのは中国の情勢だ。言うなれば、複雑骨折―。株価は下がりっ放しで、なかなか上がる気配がない。普通はドンと下がれば、その反動で少しは上がるものだが、それがないということは中国の個人投資家が自国の経済に自信を持てないのだろう。また、不動産バブルもはじけたままで、高揚感も生まれにくい。
しかも、もともと中国はインフレに困る国だったはずなのに、物価が上がらないという現象を来している。現状1%台と、歴史的に見ても極めて低い水準である。家計的には一見ありがたいように思えるかもしれないが、物の値段が上がらなければ旦那さんの会社の売り上げは増えない。給料アップも望めない。それはそれで困った問題なのだ。これは「中国のデフレ現象」、あるいは長くデフレに悩んだ日本にたとえて「中国の日本的症状」とも呼ばれている。
当然の帰結と言うべきか、ずっと10%台で突っ走ってきた経済成長率が、来年は7%を割り込みそうだ。マイナス成長の日本に比べれば、うらやましい話ではあるものの、13億の人口を抱える中国と同じ土俵では語れない。中国が国民の衣食住を維持するには、最低7%の成長がないと経済そのものが成り立たないのだ。その中で一番困るのは、中国国民が国全体の成長が止まったような錯覚に陥ることである。高速道路を時速120㎞で飛ばし一般道路に入ると、スピードメーターはしっかり時速80㎞を示しているのに、車が止まったように感じる、あの感覚だ。財布のヒモが締まり、消費が盛り上がらず、さらに成長が減速する危険がある。
世界は言うまでもなく、中国の停滞を対岸の火事と見物しているわけにはいかない。過去10年を振り返ると、世界経済は中国頼みだった。統計的に見ても、ここ5年は世界の経済成長の内、中国はなんと55%を占めているのだ。世界経済を牽けん引いんするアメリカと、その足を引っ張る中国、当分はそのせめぎ合いが続きそうだ。アメリカの利上げも、イエレン議長が「緩やかなペース」と表現しているように、中国情勢をにらみながら2~3年かけて2~3%程度にゆっくりと引き上げていくと思われる。
10年先を見越して中国株は買い
中国の現状から見て、「来年上がるかもしれない」と期待して中国株を買うのは、明らかに間違いだ。しかし「5年、10年先を見越して」ということであれば話は別。「今仕込んでおく」価値はあるだろう。これからさらに労働人口が増えて生産性が上がるのは必定だし、今は北京や上海等の沿岸部に集中している富が内陸部に浸透していく。そういう成長過程を描くことが予測されるからだ。
私の友人にして著名投資家であるジム・ロジャーズはすでにアメリカを捨てて、家族でシンガポールに移住している。理由は「娘を中国人学校に通わせ、中国語に習熟させる」ため。そんな思い切ったことをしてしまうくらい「これからは中国の時代だ」と確信している。彼の言を借りれば「中国は巨大な国だからスムーズな成長を望むほうがおかしい。でも20年のタームで見れば、バブルがはじけては生じ、生じてははじけることを何度か繰り返しながら、確実に成長していく」ということだ。
ジムは世界で初めてヘッジファンドをつくったせいか「投機に走る人」というイメージをお持ちの方が多いと思うが、実は娘思いの超長期投資家である。なにしろ彼は、ミャンマーなど誰も見向きもしなかった6年前に「これからはミャンマーだ」と言って投資し、ブームを迎えたところで売り払った人物。私は彼の言うことには説得力があると感じている。
しかも、もともと中国はインフレに困る国だったはずなのに、物価が上がらないという現象を来している。現状1%台と、歴史的に見ても極めて低い水準である。家計的には一見ありがたいように思えるかもしれないが、物の値段が上がらなければ旦那さんの会社の売り上げは増えない。給料アップも望めない。それはそれで困った問題なのだ。これは「中国のデフレ現象」、あるいは長くデフレに悩んだ日本にたとえて「中国の日本的症状」とも呼ばれている。
当然の帰結と言うべきか、ずっと10%台で突っ走ってきた経済成長率が、来年は7%を割り込みそうだ。マイナス成長の日本に比べれば、うらやましい話ではあるものの、13億の人口を抱える中国と同じ土俵では語れない。中国が国民の衣食住を維持するには、最低7%の成長がないと経済そのものが成り立たないのだ。その中で一番困るのは、中国国民が国全体の成長が止まったような錯覚に陥ることである。高速道路を時速120㎞で飛ばし一般道路に入ると、スピードメーターはしっかり時速80㎞を示しているのに、車が止まったように感じる、あの感覚だ。財布のヒモが締まり、消費が盛り上がらず、さらに成長が減速する危険がある。
世界は言うまでもなく、中国の停滞を対岸の火事と見物しているわけにはいかない。過去10年を振り返ると、世界経済は中国頼みだった。統計的に見ても、ここ5年は世界の経済成長の内、中国はなんと55%を占めているのだ。世界経済を牽けん引いんするアメリカと、その足を引っ張る中国、当分はそのせめぎ合いが続きそうだ。アメリカの利上げも、イエレン議長が「緩やかなペース」と表現しているように、中国情勢をにらみながら2~3年かけて2~3%程度にゆっくりと引き上げていくと思われる。
10年先を見越して中国株は買い
中国の現状から見て、「来年上がるかもしれない」と期待して中国株を買うのは、明らかに間違いだ。しかし「5年、10年先を見越して」ということであれば話は別。「今仕込んでおく」価値はあるだろう。これからさらに労働人口が増えて生産性が上がるのは必定だし、今は北京や上海等の沿岸部に集中している富が内陸部に浸透していく。そういう成長過程を描くことが予測されるからだ。
私の友人にして著名投資家であるジム・ロジャーズはすでにアメリカを捨てて、家族でシンガポールに移住している。理由は「娘を中国人学校に通わせ、中国語に習熟させる」ため。そんな思い切ったことをしてしまうくらい「これからは中国の時代だ」と確信している。彼の言を借りれば「中国は巨大な国だからスムーズな成長を望むほうがおかしい。でも20年のタームで見れば、バブルがはじけては生じ、生じてははじけることを何度か繰り返しながら、確実に成長していく」ということだ。
ジムは世界で初めてヘッジファンドをつくったせいか「投機に走る人」というイメージをお持ちの方が多いと思うが、実は娘思いの超長期投資家である。なにしろ彼は、ミャンマーなど誰も見向きもしなかった6年前に「これからはミャンマーだ」と言って投資し、ブームを迎えたところで売り払った人物。私は彼の言うことには説得力があると感じている。