
エリオ・オイチシカ《パランゴレP4ケープ1(1964)を着たカエターノ・ヴェローゾ》1968年 撮影者不詳 Courtesy: Projeto Helio Oiticica
陽気で強い生命力感じるアートの興隆
1960年代半ば、ブラジルは、国粋主義的な政治色に支配され、過剰なまでの保守化やマンネリ化が進んでいた。その極端化した価値観は、音楽・アートにまで及び、その時代の文化は影を潜めていた。そんな中、西洋からのモダニズムとは違う独自の文化の創造を目指す動きが若いクリエイターの中から生まれ、「熱帯に住む者の 文化のオリジナリティ」を謳う“トロピカリア”という芸術運動に発展していった。自分たちの文化的アイデンティティは、ジャングルやトロピカルな風土の中から生まれてきたという主張となり、新たな表現を生み始めた。