

(左)自然エネルギーである雪を利用した雪室(ゆきむろ)はCO₂削減へ貢献し、奥大山ブナの森工場が目指す環境負荷の低減に役立っている。(右)大切な水を育むために、生物多様性を考慮した植林を心がけ、森を守る活動も活発だ。
自然共生型工場へ—奥大山ブナの森工場
そして近年、同社の社会貢献の中でもより大きな比重を占めているのが「水」に対する取り組みである。2008年に誕生した奥大山ブナの森工場は、同社の水への取り組みを最も体現したものだ。ブナの森に囲まれた山腹にあり、自然を壊さないよう、建物の周囲には元々この地にあった植物を植栽している。製造工程では工場用水を再利用するピンチテクノロジーの導入により、排水を大幅に削減。さらにできる限り自然に近い状態で還すため、24時間体制で排水管理を徹底している。そして冬の間に降る雪は雪室(ゆきむろ)に貯え、夏の冷房用に使用するなど、環境をいかした自然共生型工場なのだ。「森に育まれて川となり、海に注ぎ込む。そんな水の循環の中に工場があるような、自然に近い存在となることを目指しています」と内貴氏は言う。こうして生まれた「サントリー天然水<奥大山>」のやさしく奥深い味わいは、同社の絶え間ない水質保全活動に支えられているのである。

2008年3月より、熊本県・南阿蘇、山梨県・白州に続く、「サントリー天然水」の第三の生産拠点として稼動した、鳥取県・奥大山。自然界の水の循環に負担をかけない「自然共生型工場」として誕生した。