
(左から)『夢ごこち 澤の華 おむすび』/『焼野菜色々 無花果 小芋 玉葱 銀杏』/『松茸と比内鶏のスープ 三つ葉 葱』/『刺身いいとこ盛り 鮪 白身 秋刀魚 雲丹』
見えない部分へのこだわりに光る匠の技
そんな極上の美酒とともに楽しむ料理は、山形の“夢ごこち”と非売品という“澤の華”で握ったかわいらしいおむすびからスタート。食事としての米、酒としての米を味わえるようにとの粋なはからいだ。続いて、無花果、小芋、玉葱、銀杏といった野菜の焼きへ。各々の野菜に独特の甘みを感じる素材力に感心させられるが、特筆すべきは、無花果に合わせた柚子味噌。コクがあり、味噌と無花果の甘みが絶妙なバランスでユニークな味わいだ。この2皿には、果実の甘さととろみが特徴の獺祭50(純米吟醸)を合わせ、食材と酒、双方の甘みが織り成す絶妙なハーモニーを堪能した。そして、椀は、松茸と比内鶏のスープ。比内鶏のだしが繊細な味を作り出し、具材である松茸や比内鶏のつみれの味をうまく引き出した秋薫る仕上がりだ。続く刺身は、谷川料理長ならではの“見えない部分”へのこだわりが。カクテルグラスに飾った鮪、鰈、秋刀魚、雲丹の下に、それぞれ海苔、葱、オニオン、湯葉という斬新なアレンジ。素材に合わせてあしらった塩やごま油、酢というシンプルな味付けながら、ただ刺身を食すだけではない意匠を凝らしたもてなしだ。椀には、香り・味ともに気品あふれる獺祭3割9分(純米大吟醸)を、刺身には、獺祭りの中でも究極と称される獺祭2割3分(純米大吟醸)を合わせた。