
トゥールダルジャン伝統のスペシャリテ「幼鴨のロースト“マルコポーロ”」。1921年、昭和天皇が皇太子時代に訪欧した際に食べた鴨は53211羽目、1971年、2度目に来店したときの鴨は、423900羽目であった。
パリの歴史とともに
トゥールダルジャンが閉店したことがある。それはフランス革命が勃発した時のこと、貴族文化の象徴として民衆の憎悪の対象となったためだ。しかし19世紀初頭ナポレオンが皇帝につき、政情が安定すると、人々もまた華やかな文化を求めるようになった。そこで、ナポレオンの料理長を務めていた人物がトゥールダルジャンを再オープン。ジョルジュ・サンドやバルザックなどパリの文化人が通い、再び脚光を浴びる。1890年、フレデリック・デレールがオーナーに就任。今なおトゥールダルジャンのスペシャリステである“鴨のトゥールダルジャン風”を編み出したのは彼である。また、客の前でサービスした鴨一羽一羽にナンバーを付けるという、ユニークなアイデアも考案した。以降、世界のセレブリティがこの鴨料理に舌鼓を打つことになる。