
中東久人 京都、花背の料理旅館「美山荘」の4代目主人。さまざまな角度から日本料理への可能性を探求するだけでなく、新たな日本料理店のプロデュース、器のプロダクトデザインなどの活動も注目される。
日本料理の繊細かつ高度な技術に驚く
ジェローム・ラクレソニエール氏「今回の企画に臨むにあたり、事前に各料亭に足を運んでいます。瓢亭の料理では、キスやサヨリ、木の芽の個性に魅せられ、これらの食材を用いた料理を考案しました。もちろん、いずれもフランス料理では使わないものばかりです。また、高橋氏に教えられた魚のしめ方、さばき方も、フランス料理の技法にはない独特なもので、非常に繊細かつ高度な日本料理のテクニックに驚かされました。このように、日本料理の歴史や技術、哲学を学び、日本料理に心から敬意を抱くことができたのは大きな収穫です。今回の美山荘は、山の幸が豊富な地にある料亭。そのため、今は鮎や山菜を取り入れた料理を試作中です。難しいのは、日本料理とフランス料理では、同じコースといってもリズムが異なること。フランス料理がフィニッシュに向けて盛り上がるのに対して、日本料理は常に一定です。そのため全体のバランスを整えることに気を遣いました」。