世界の贅沢、NILEの贅沢

旅のすべての瞬間を楽しませてくれる

最後に、走り出すための心臓と骨格についても語っておこう。フェラーリ由来のV型8気筒エンジンは2種、405馬力とグラントゥーリズモＳの440馬力とがある。トランスミッションは、トルクコンバーター式6速ATと、同SのMCシフト6速2ペダルMTだ。
　ストイックに攻めこむなら、パワーがあり、ミッションがリアシート下にあるSがよいが、実際に走らせてみると、グラントゥーリズモのトルコンATの組み合わせは極めて有効なことがわかる。変速がこの上なく滑らかな上に、トルクの出方が穏やか。長距離ツーリングを楽しむには、むしろこちらの方が似合う。窓をほんの少し開ければ、魅惑的なエンジンサウンドが耳に届く。7千回転以上も回るこのエンジンは、いついかなる時もオーナーの右足に忠実だ。コーナーではしっとりとした旋回を披露してくれ、まさに“意のまま”だ。グラントゥーリズモで旅に出れば、そのすべての瞬間を楽しませてくれるだろう。