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環境技術の集積と人間的空間の両立
屋根の延長である庇には、太陽電池が装備され、電力を蓄えつつ、季節毎、時刻毎、選択的に日射を遮蔽し、ガラスの外壁を通じ内部に光を送り込む。日本建築に見られるような近代以前の慣習的な方法と最新技術が巧みに融合されている。また地域の環境特性も積極的に活かし、パーク内森林の冷涼な風は、外壁から取込まれ、内部の吹抜けの高低差により循環し、屋根から排出される。間近に迫る大西洋の海水が内部の床の温度を安定させているのは、クールチューブという熱交換技術の応用である。
 しかし、特筆しておくべきはこの建築が単なる技術の集積であるばかりでなく同時にヒューマニスティックな公共スペースの性質を実現している点である。空から落ちる柔和な光に包まれる内部空間は、“エコロジー、公共性を強く意識した持続可能な施設”というテーマに相応しく、わくわくさせる楽しさをもつ一種テーマパークのようである。技術を大胆に駆使しながら人間のための空間を作るという能力がレンゾ・ピアノと他のハイテク建築家が一線を画する点である。それは彼の遠い先祖であるルネッサンスの建築家達から受け継いだ資質なのであろうか。
緑化された屋根に無数あるレンズ状の窓は、施設内に日差しを届けるように設計されている。また屋根の起伏を利用し、雨水を集め、施設で有効活用している。
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