放蕩児から、後継者へ



(左)お得意のスカラベ使用による巨大な作品、その名も『フンコロガシ』。メディチ家のマリーの肖像の前に、なんとも意味深な配置、コ
ントラストの妙だ。(c) 2008 Musee du Louvre / Antoine Mongodin (c) Adagp, 2008
(中央)ルーベンスの神話的女性を描く絵画に囲まれてそびえ立つ、《戦機着用をした天使》は水面前のトンボに発想を得た、変容する 天使の姿。(右)『私、夢みながら』は、セルフポートレートとされながら、トレードマークの帽子と顕微鏡と共に、彼の曾祖父ヤン・アン リ・ファーブルを模している。
(中央)ルーベンスの神話的女性を描く絵画に囲まれてそびえ立つ、《戦機着用をした天使》は水面前のトンボに発想を得た、変容する 天使の姿。(右)『私、夢みながら』は、セルフポートレートとされながら、トレードマークの帽子と顕微鏡と共に、彼の曾祖父ヤン・アン リ・ファーブルを模している。
デッサン画家であり、造形作家であり、身体を素
材に空間を彩る振付家、そして演出家であるヤ
ン・ファーブルは、その多様性から"カテゴライ
ズされ得ないアーティスト"と称されてきた。70
年代後半から本格的な活動を開始し、80年代フ
ランドル・ヌーベルバーグの放蕩児と称された
彼は、今や国際アートシーンにおいてアーティ
ストとしての地位を確立している。スカラベを
使用した多様な造形作品を代表に、彼の作品は
我々に、『ファーブル昆虫記』の著作者ヤン・ア
ンリ・ファーブルの曾孫であるという事実とそ
の確かな素質を確認させる。そして更に今回の
展覧会において、現代アートと脈絡のない作品
群とのインスピレーションの共有を果たしたフ
ァーブルは、アートという歴史の後継者として
の資質も発揮したと言えよう。
ヤン・ファーブル『変貌の天使』展●ルーブル美 術館/リシュリュー翼3階●2008年7月7日まで開 催中
ヤン・ファーブル『変貌の天使』展●ルーブル美 術館/リシュリュー翼3階●2008年7月7日まで開 催中