神の世界への再解釈
15世紀の画家ヤン・プロヴォストによる作品『眼の下、神の
手中にある宇宙、キスリストと教会と』。そこに描かれた"十
字架のついた天体"を、世界の象徴、神聖なるパワーを表現
するオブジェとして再解釈した作品が、『SALVATOR MUNDI』
である。グローブがスカラベを掲げ、その上に天使の髪の毛
が生えている背骨を立ち上がらせている。ミステリアスな
メタルの手が、グローブを差し向け、我々にその意味を問い
ただすかのようだ。又、"スピリチュアルな完成"を具象化す
るという作品『骨の天使』は、僧侶とも天使とも、男とも女と
も見定められぬ、骨のスライスを衣装として纏う立体像だ。
この骨の衣装は、"加護"を象徴していると言う。「キリストが
我らのために流した血に対し、骨とは、私たちにもう血を流
すことはないという安心を与えます」。この作品でファーブ
ルは、文学的に裏返される身体のヴィジョン、不死という理
想の将来を、我々に提示する。




(左上)『SALVATOR MUNDI』荘厳と見るか、ポップと見るかは心次第。(右上)ヤン・プロヴォスト『眼の下、神の手中に
ある宇宙、キスリストと教会と』。(左下)どこかユーモラスな存在感を放つ『骨の天使』。(右下)『骨の天使』が突如
として浮き上がる展示室。見物客の好奇心をそそる。photo Attilio Maranzano, (c) Angelos. (c) Adagp, 2008