

(左)2001年には画期的な発明をした研究に与えられる「全米発明賞」を受賞。(右)“KOI”というブランド名は、設立者の山本修士氏
の出身地新潟の名物錦鯉と、誕生日が5月5日のこどもの日であることにちなんだもの。
ひとりの日本人エンジニアの情熱の結晶
KOIを設立したのは、BOSE社で101、301、501などの名作スピーカーの開発に携わったエンジニア、山本修士
氏。山本氏はこのスピーカーを開発する際、音質の上での目標を定めた。スピーカーはB&Wの801、アンプは
マッキントッシュという最高峰の名機コンビを研究室に設置し、それと同じ音を目指したというのである。
さらに、BOSEのコンセプトと同様に小型であることと、価格を1/10に抑えることというハードルを設けた。
そのようなこだわりを詰め込んだ結果、完成するまでにはかなりの時間を費やすこととなった。完成後、B&W
の開発者やバークリー音楽大学の教授、生徒たち、ボストンフィルの指揮者、演奏者などを招いて試聴会を
開き、その際、ブラインドテストでB&W+マッキントッシュと交互に聴かせたKOIの音を、ほとんどの人が聴き
分けることができなかったそうだ。山本氏はそこで初めて、本当にいいスピーカーを完成させたことを実感
できたのだという。

KOI躍進のきっかけとなったバークリー音楽大学モデルのスピーカ
ー。サブウーファーの形状が異なり、ここからさらに改良が加えら
れたことが見て取れる。同大学に110組を納入し、現在もほとんど故
障することなく学生の音楽制作、演奏活動を支えている。
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