
「日本料理に限りませんが、料理はまず何より
もイメージありきです。頭に思い描く“美味し
さ”を、いかに形にするか。そのための最適なプ
ロセスを考え、実行するのが料理人の仕事で
す。たとえばこの“アカムツの炭火焼 魚拓仕立
て”は、揚げたお米を衣にして、黒酢を吹きかけ
ながら炭火で焼いたものです。私は最初、アカ
ムツを使って、外側がカリッと香ばしく、身はジ
ューシーで魚の旨みが口にあふれ出すような
料理にしたいと思ったんですよ。でもアカムツ
の皮は薄いので、普通に焼くだけでは思うよう
な食感にはなりません」
(左)“アカムツの炭火焼 魚拓仕立て”。烏賊墨と味噌のソ
ースで大理石の皿にシルクスクリーン印刷し、魚拓に仕立
てている。(右)山本征治 1993年、徳島の料亭「青柳」本店
に入社。その後、虎ノ門「青柳」、晴海「BASARA」料理長、日本
料理「小山」など青柳グループでの経験を経て、2003年「龍
吟」開業。スペインの世界料理サミットに日本代表として
出場するなど海外でも活躍する。2007年ミシュラン2つ星
獲得。
