

(左)ヴィジェ・ブランによる『フランス王妃マリー・アントワネットとその子供達』、1789年。(c)Photo RMN c Gerard Blot
(右)王妃の様々な髪型のデッサンが展示された会場。(c)Prises de vues :Rmn / Cristiano Mangione
(右)王妃の様々な髪型のデッサンが展示された会場。(c)Prises de vues :Rmn / Cristiano Mangione
王妃を彩る女達
王妃時代を彩った二人のアーティストとして、まずマリー・アントワネット指名の肖像画家、エリザベット・
ルィーズ・ヴィジェ・ブランがいる。それまで制作された自分の肖像画が自分の姿を伝えきっておらず、オー
ストリアから再三に近況の肖像画を依頼する母にも応えられずいた王妃がやっと出会った理想の画家であ
った。信頼を受け、王妃の軌跡を描き続けた彼女。王妃の家族、近しい取り巻きの肖像画も数多く残したこと
から、王妃の人生の記録画家とも言えよう。《庭仕事の王妃》というあだ名を持つほどに、自然と庭を愛したマ
リー・アントワネット。肖像画に於いて、ヴィジェ・ブランは王妃にしばしば、バラを手持たせている。王妃の
バラ好きは、やはりご指名のデザイナー、ローザ・ベルタンにも引用され、バラの花が差し込まれた髪型も発
案された。ベルタンの考案するドレスやスタイルは、マリー・アントワネットを偶像に、広くヨーロッパ上流
階級に流行した。