ウィーンでの皇女時代
劇場の幕にも見立てられる、エレガントなブルーの幕に彩
られた第一展示室。ここでは、マリー・アントワネットの恵ま
れた皇女時代が、数々のハプスブルグ家関連の宝物によっ
て紹介されている。1775年、オーストリア大公マリア・テレジ
アと夫神聖ローマ皇帝フランツ一世の第十一女としてウィ
ーンに生まれた彼女は、無邪気だが移り気、勉学も読書も続
かず、屋外に駆ける奔放な少女であった。フランス王太子妃
時代には、享楽的である娘の性質を原因に、ヨーロッパ二大
強国の政略結婚が瓦解することを恐れた母、マリア・テレジ
アとの直筆往復書簡なども展示されている。特筆すべきは、
マリー・アントワネットの姉であり、母もお気に入りの娘、マ
リア・クリスティーネによる絵画作品である。彼女の家族肖
像画は、作品としての素晴らしさと共に、貴重な歴史資料と
されている。




(左上)『オーストリア皇女、マリー・アントワネット、1769年。(c)Photo RMN / Gerard Blot(右上)ルイ15世からマ
リア・テレジアへ贈られた、緑のリボンの給仕品、1756年。(c)Bundesmobilien verwaltung, Silberkammer Hofburg
Wien. Photo: Edgar Knaack(左下)マリア・テレジアの朝食器、1750年。Autriche (c) 2007 Kunsthistorisches
Museum mit MVK und OTM Wissenschaftliche Anstalt offentlichen Re(右下)『オーギュスト家系図』、1769年製
を1800年に複製。(c)Tina Haller / Bundesmobilien verwaltung, Kaiserliche Hofburg Innsbruck