
森脇慶子 料理ライター。料理雑誌、女性誌などで活躍。著書は「アジアンマダムのやさしいごはん」(廣済堂出
版)、「行列レストランのまかないレシピ」(ぴあ)など。
皿の向こう側に広がる世界に魅せられて
味はもちろん大切な要素ですが、他にとても興味ある
のが、料理人や素材といった料理の背景。料理人が歩
んできた道、素材が育てられ調理されるまでの過程、
それからフレンチでも和食でも、なぜそのような料理
が形成されたのか歴史的な背景も知りたいですね。
今、目の前にある料理がなぜこうなったのか、そこには
豊かな食文化がありますから。一つずつ紐解いていく
ことで、たった一皿の料理から、世界がどんどん広が
っていくのがとても楽しいんですよ。———今の日本
は、フレンチもイタリアンも、いったん日本で吸収し消
化して、日本流の新しいフレンチ、イタリアンを作りつ
つあるのでは? かつて本場の味を忠実に再現しよう
としていた時代から一歩進んで、日本人の感性で自由
に作っているなと。でもそこは根っこがしっかりして
いないと非常に難しい、料理人の技量が試されるとこ
ろです。思いつきの創作料理に終わらせないのは容易
ではありませんが、今後の展開が楽しみなところで
す。