
レアンドロ・エルリッヒ《スイミング・プール》2004年 金沢21世紀美術館蔵 photo Atsushi Nakamiti/Nacasa &
Partners 提供 金沢21世紀美術館
いつでも新鮮な出会いのある美術館
従来の美術館のイメージを変えてしまったエポックと
いえば、金沢21世紀美術館のオープンだろう。芝生に
囲まれた円形の建物は、外壁や壁にガラスを使い、光
庭(中庭)を設けることで、明るく開放的な空間となっ
ている。同時にそれは、透明な壁の向こうに新たな空
間や人の存在を感じ取る、ワクワクした出会いの感覚
をもたらしている。コミッション・ワークという存在を
有名にしたレアンドロ・エルリッヒ「スイミング・プー
ル」にもそんな感覚がある。光庭に設置されたリゾート
風のプール。表面は波立ち、深く水で満たされている
かのようだが、実際はガラスの上に深さ10cmほどの水
が張られているだけで、のぞき込むと中では人が動い
ている。人との出会いが認知を一瞬にして覆すウィッ
トに富んだ作品だ。その下は光の揺らめく水色の部屋
となっており、水の中にいる感覚が味わえる。外の観
客や風がつくる光の揺らめきが心地よく、いつまでも
飽きることがない。