ジェフリー・バワは今、自身が創りあげた理想郷ルヌ
ガンガの、見晴らしのよい丘に眠っている。この場所
から海に沈む夕日を眺めるのが何より好きだった彼
は、ここで晩年を過ごし、永遠に眠ることを選んだ。
祖国の自然を愛し、その土地が持つありのままの魅
力を最大限に引き出すバワの建築の中に身を置くと
、自然の中にとけこんだような心地よさを覚える。自
然の息吹を、ありのまま感じることができるのは、な
んとドラマチックなことか! 同性愛者だったバワの
血を継ぐ者は、残念ながらこの世に存在しない。しか
し、彼の手がけた建築は至るところに残り、その空間
美は今も多くの人々を魅了し続けている。スリランカ
取材時に宿泊したホテルの部屋には─それはバワの
建築したホテルではなかったにも関わらず─、必ず
といっていいほど、彼の作品の写真集が置かれてい
た。スリランカで、彼の名を知らぬ者はいない。

晩年のバワ。建築界に多大な影響を与え、2003年5月27日に永眠についた。