

(上)コリウールの街並み。蜂の巣のように小径が誘う。(下)コリウールの歩道に刻まれているモチーフ。物語がそのまま生きているような土地だ。
コリウール、色彩の迷宮
終着駅、ポール・ブー手前のフランス最南端は、"コート・ヴェルメイユ"と呼ばれる美しい海岸が続き、魅力的な街が集う。中でもコリウールは、ピレネー・オリアンタル県の代表的な観光都市だ。アンチョビの産出で有名な、けれども素朴な漁村であったこの街は、ブラックやピカソ、ダリ、藤田嗣治など、多くの芸術家に愛された。1905年に訪れた画家アンリ・マティスがフォーヴィズムを開始したのは、この土地であった。港、鐘楼、高台から見渡す屋根、小径、隠れたひっそりとした空間。小さな秘密をあちこちに隠し持っているかに入り組んだ街並み。強い太陽光線の下の、艶やかな色彩。コリウールから更に南下した隣町、ポール・ヴァンドルは、大漁港としてシンプルだが、水揚げしたての魚料理店が軒を連ね、市場で鮮魚も購入できる。ポール・ヴァンドルをさらに南下すると、スペインまであと一歩の名高いワイン産地、バニュルスが控えている。


(上)コリウールの代表的な風景。鐘楼と船着き場。(下)ポール・ヴァンドル。大小の船が暇なく入出港する。カモメの鳴き声と共に、港の騒音が心地よい。