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LUX BOOK REVIEW
『京極夏彦 画文集 百怪図譜』
Text Mihoko Matsuda
骨の随まで京極ワールドに浸る
『姑獲鳥の夏』で衝撃的なデビューを飾った作家・京極 夏彦氏は、優れたアートディレクターでもある。この本 は、2000年に行われた「百怪図譜」という展示会に彼が 出品したリトグラフに彼自身が文章をつけた画集だ。 収められている35点の作品は、すべて妖怪。河童がい て青坊主がいる。「魍魎の匣」の魍魎も、「鉄鼠の檻」の 鉄鼠もいる。そう、まさしくこの本は、骨の随まで京極 ワールドに浸れる極上の一冊。京極ファンには垂涎も のであることは言うまでもないが、京極ファンでない 人も、描かれた妖怪たちの妖しく哀しい姿に、心を奪 われるに違いない。この本を開くのは、湿りけのある暑 さを感じるこれからの季節が最適。時間は夜。はるか 昔に人間が想像の中で作り出し、21世紀の今、京極氏 によって本の中で命を与えられた妖怪たちが、動き出 してくるような楽しみがある。
●『京極夏彦 画文集 百怪図譜』京極夏彦
講談社 2,730円
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