
石垣市内で残っている赤瓦家。


(左)島にはこのような瓦置き場があり、新築の家や補修に使われる。(右)サトウキビ畑の広がる石垣島でもコンクリ
ート打ちっ放しのスラブ家が次々に建てられている。
島民の憧れは世界チャンプ御殿
八重山諸島の中心地となっている石垣島も、つい30年ほど前までは瓦家の集落が軒を連ねてい
た。しかし沖縄の本土復帰と同時に島にもバブルの波が押し寄せ、現在ではコンクリートジャン
グル化した観も否めない。とはいえ度重なる台風の到来にも耐えられるため現在ではスラブ家と
呼ばれるコンクリート様式が主流となってきた。瓦家主流の石垣島で島民がスラブ家を意識した
のは、元ボクシング世界チャンピオン具志堅用高氏が建てた家がきっかけといえるだろう。1976
年に具志堅氏がボクシングの世界タイトルを奪取し、防衛を重ねると、具志堅氏の実家に2階建て
のスラブ家が新築された。当時2階建てが珍しい石垣島では庶民の注目の的となり、チャンピオン
御殿を一目見ようと多くの人が見物に訪れた。今ででこそ珍しくはないが当時は島民の憧れの的
だったようだ。