環境問題は健康や食糧問題に影響するだけではない。経済
問題でもあるのだ。国連環境計画(UNEP)の金融イニシアチ
ブ顧問をつとめる末吉竹二郎氏によれば、「2004年の異常気
象による損害額は約9兆4500億円、保険会社が支払った保険
金は約3兆6750億円に上り、損害保険のあり方そのものも揺
さぶられるという事態に発展している」とのことだ。なお、こ
れは2005年に発生したハリケーン「カトリーナ」の前年であ
る。同氏によれば、「『カトリーナ』の被害総額は、最大で2兆
8000億円に達した」という。経済的な損失だけではない。気
候変動により大量の「環境難民」が生まれる可能性、食料生
産の不安定化による飢餓、新たな紛争の発生が国際社会を
不安定化させる可能性もある。


『カトリーナ』は想像を絶する被害をもたらした。