

(左)地球上の生命体への賛美歌を感じさせる、自然構成要素の原色を使ったモザイク装飾。(右)バルセロナの街を見
下ろせる『グエル公園』は、バルセロナ観光に欠かせない存在である。
生命力溢れるガウディの傑作
敬虔なカトリック信者だったガウディは、晩年に宗教人として生きる覚悟を決めるのだが、その
時期と並行して不調の時期があったという。そのすべてを払拭した作品がグエル公園である。復
活への礎となったのが「少年時代に育んできた自然への感性」。ガウディの建築物は、動植物など
自然を参考にしたものが多いが、グエル公園は特に自由闊達で自然を愛するエネルギーに満ちあ
ふれている。まず、ガウディは建設予定地の傾斜を造成しなかった。本来なら緩やかな傾斜地に何
かを建設する場合、造成して平面を切り出す。しかしながら、ガウディは傾斜地を使って、そこか
しこに生命が息づいているかのような庭園と憩いのスペースを生み出したのだ。やさしい曲線の
連続とモザイク装飾の調和は、グエル公園の構成要素となっている茶色い岩と相まって、カタル
ーニャの開放的な風と高い太陽を存分に享受できる空間となっている。

ガウディの世界は非直線。迷い込むように公園を探索することに楽しさを
覚える。