
漆器には日本人の魂が宿っている
一方、海外の「japan」に対する関心は依然として強い。
「外国の人が10人いれば10人、100人いれば100人、漆を
見て『美しい』と感動してくれる」と、ある漆器店のオー
ナーは言う。アラン・デュカスは自らプロデュースする
店で食器に漆を加え、ルイ・ヴィトン社は能登半島地
震によって危機に直面した輪島塗の復興へ力を尽く
している。真に美しいもの、価値あるものには国境も時
代もないのだ。漆黒の、あるいは深い朱のその肌を見
ていると、中に吸い込まれていくような感覚を覚える。
そして手に触れると、まるで自分の体の一部のように、
すんなりなじむ。古代、漆は「魂の器」と呼ばれていたと
いわれるが、確かに、漆は私たち日本人の一部なので
ある。