


(写真左)セーヌ河沿いの自転車専用道。(写真右上・右左)車道と舗道の間に設置された自転車専用レーンと専用信号。
官民一体のインフラ整備
また、自動車に変わる主要交通手段の確立にあたって、自転車交通のための各インフラ整備も見逃せない。自転
車は車道のみの通行という道交法がネックとなり、従来のパリの道路事情はサイクリストにとって決して安全
といえるものではなかった。これまでは市民団体の請願に応えるかたちで、セーヌ沿いの自動車専用道を日曜
日の日中に限って自転車専用道としていたのが行政側の最大の対応例であった。現行法を改正することなくこ
の問題解決の切り札と期待されているのが、車道と舗道の間に新たに設置された自転車専用レーンおよび専用
信号だ。路幅の広い幹線道路においては車道と舗道双方の間に分離帯を設け、専用レーンへの物理的な侵入を
防ぐとともに交通の住み分けをはかっている。将来的にはブールヴァールやアヴニュと呼ばれる大通りのすべ
てにこの自転車専用レーンが設けられる予定である。