
VERIB【後編】————新たな都市像の創造へ
Photo&Text.Shun Kambe

自動車削減20カ年計画
2007年から始まったパリの貸し自転車システム、ヴェリブの
人口膾炙は、行政を核にした複合的な取り組みが功を成した
感がある。政策発表当時は『絵空事』と揶揄されたドラノエ・パ
リ市長の宣言、「2020年までにパリ市内の交通量を40%削減す
る」という大見栄も、ヴェリブの順風満帆なスタートでにわか
に現実味を帯びてきた。この成功を支える要素で見逃せない
のが、官民一体となった運営システムと自転車交通のための
都市インフラ整備である。ヴェリブ自体はパリ市の推進事業
に位置づけられているが、財政に関してはJC Decauxという広
告代理店が所管の第3セクター方式で運営されている。ヴェリ
ブ運営のための経費は全額JC Decauxが負担し、見返りとして
市内約1500カ所に優先的に広告看板塔を設置できるという内
容である。このシステムの特徴は税金を全く投入することな
く継続的な運営を模索している点であろう。