


(上)02年伊藤豊雄氏設計のパヴィリオン。(左下)パヴィリオン開催模様。(右下)パヴィリオン内部。
サーペンタインがもたらすモノ
サーペンタインの歴史を振り返ると、2000年のザハ・ハディッドから始まり、03年オスカー・ニーマイヤー、05年アルヴァロ・シザなど世界でも超一流な建築家が名を連ねる。ビジネス的な意味合いがないに等しいプロジェクトだが、皆、意欲的にパヴィリオンの設計に携わり、展開されてきた。また02年には唯一の日本人伊藤豊雄氏がこのプロジェクトに参加している。伊藤豊雄氏が構造設計事務所アラップとの協働で完成させたパヴィリオンは、このプロジェクト自体の意味や方向性を位置づけた傑作である。その構造は一見、ランダムな格子で構成されているように見えるが、正方形を拡大・回転させることによって導かれるアルゴリズムで屋根を構成するラインがつくられ、そのラインを延長して壁が構成されています。近年のパラメトリックなデザインの建築をみていると、伊藤氏が設計した02年のパヴィリオンの影響は大きく、価値のある試みだったようにと思える。そしてまた来年この時期、建築界に大きなインパクトを与えるようなパヴィリオンが完成する事が期待される。