

(左)異様にすら見える長春の旧関東軍本部。なぜ残されたのか分からないが、歴史を今に伝える存在。(右)ロシアの街並が残るハ
ルビン。色とりどりのライトアップは中国各地でも見ることができる。
歴史的建造物群が残された街
古き良き下街が消えてゆく中、歴史的な外来建造物が街並に取り込まれている例もある。特に第一次大戦時
に租界という外国人居留区を持っていた上海や、ロシアと日本が展開した中国の東北部に多い。上海の場合
は外灘(バンド)という銀行が集中している一大観光エリアに、横浜や神戸に残っているような巨大な洋館
群が立ち並ぶ。外交と通商の場として当時から華やかな場所だったのだ。対して中国の東北部では、日本・ロ
シア・朝鮮の影響を受けながら育った文化・言語圏が形成されているため、建物にもその影響が見られる。大
正・昭和初期のロシア建築と日本建築が数多く残され、街のシンボル的な存在になっているのだ。どちらの
パターンも、当時の施主が残っていることはなく、現在は中国の企業や政府機関が入っている。内部まで見
ることは難しいが、上海、大連、長春、瀋陽、ハルビンを訪れる際には、これらの歴史的建築群を見ることも楽
しみのひとつである。

満州鉄道が経営していた旧大和ホテル。内装も当時のまま残され
ている場合が多く、宿泊できる。