
北京や上海のベッドタウンには超高層マンションが林立。巨大なコミュー
ンを形成している。


細やかな配慮や機能性よりも、外へのアピール力を持つことが購買意欲を駆り立てる。
地方は保守的。色に関する景観規制がないにも関わらず、似たようなトーンに寄り添っていく。
あの大型マンションが売れるワケ
中国のマンション建築事情は、日本と比べると桃源郷のようである。都市部では、とにかく良いも
のを建てれば売れるのだ。その「良い」という価値観も、個性的という厄介な概念でないところが、
夢のような状況に拍車をかけている。評判の高いインテリアを導入すれば、まず間違いはない。何
より風評とステータスが最重要なのだ。例えば、都市部で高層建築を見ると、変な凹凸を持つ建物
と出会う。よく見るとエアコンの室外機である。なぜ、日本では隠したい室外機が、安全性を無視
して外に取り付けられるのか。理由は「全室エアコン付」がステータスだからという。もうひとつの
大きな特徴は「巨大建築」が好まれることだ。全体主義が拭いたくてもぬぐい去れない現在の購買
層は、巨大なコミュニティーに属することに安心感と優越感を覚えるという。もっとも、この価値
観の崩壊は時間の問題で、より個性的な住宅を購入する方向に向かうのは確かなことだろう。