


(上)ジャパンデザイン会場
の基調色は白。ここから世界
に発信されるインパクトが
それぞれの国で色づけされ
てゆく。(下)TOYOTAはプロト
タイプのパーソナルモビリ
ティ、i-REALを出展。日本のテ
クノロジーを象徴する独創
的なデザインであった。
模索されるエコのメッセージ
日本の風土的・文化的な視点から発信する「共存のた
めの産業モデル」は、概して、日常生活における環境へ
の関心に比重が置かれていた。したがって各社のデザ
イン展開も従来の延長線上に位置しており、エコ指向
は素材や生産システムにおいて主張されていたのが
特徴で、欧州の『啓発的』エコデザインとは対称的なア
プローチで興味深い。しかし実験的な産業デザインと
いう側面においては、メッセージ性の希薄さも否めな
かった。唯一気を吐いたのがTOYOTA。i-REALという斬
新な未来型パーソナルモビリティの発表で、モビリテ
ィと最先端のロボット技術、そして独創的なデザイン
を世界に向けて明確に発信していた。「単なるイノベ
ーションではなく日本ならではのハイテクを造形に融
合させることが、日本企業に求められるテーマ」という
ジャパン・デザイン総合プロデューサー喜多俊之氏の
コメントは、このイベントの意義と将来像を端的に表
しているといえる。