


(上)天安門広場前のピクトグラム。中国が最も威信をかけた場所でも人や車の丸みは残されている。(左)北京オリンピックの会
場を示すピクトグラム。全体的に頭が小さく体が長細い。(右)北京五輪のメイン会場「鳥の巣」は2008年4月にこけら落としされ
た(撮影は2008年1月)。
オリンピック観戦の前にピクトグラムの確認を
中国のピクトグラムにも、さまざまな独自性がある。ま
ず、細部の作り込みが少々甘いことが特徴だろう。し
かしながら、このディテールの雑さが、逆に中国らしさ
を演出しているとも取れる。スクールゾーンや横断歩
道に建てられている「人」を描いたピクトグラムは、そ
の丸みからどことなく人間らしさを感じるし、「車」な
どの形状も懐かしい形状から親しみやすい。その反面
、日本を含む諸外国の人が見た時に「えっ!」と驚いて
しまうものが多いのも中国の特徴だ。街を歩いている
と突然現れる「慢」という一文字。漢字を理解できる日
本人なら、少し考えれば「ゆっくり」という意味はなん
となく理解できるが、欧米人にはどうだろうか。また、
「痰を吐くな」というピクトグラムは、断らなくても中
国だけのものである。まったく異なる歴史を歩んだこ
の近くて遠い国のピクトグラムたちは、飽きないデザ
インから私たちの旅をさらに豊かにしてくれるのだ。