工夫と実験が生む世界遺産のピクトグラム



(左)イスタンブールのスルタンアフメット地区にある、周囲の緑に配慮したピクトグラム。(中央)サグラダ・ファ
ミリア大聖堂前のピクトグラム。建造物との調和に配慮している。(右)チェスキー・クルムロフ歴史地区(チェコ)
のピクトグラム。左右幅が建造物の柱の幅に収まっている。
地球上を代表する歴史や自然、文化などに認定
されるUNESCO世界遺産。いまも各国の旅人が、
世界中に点在する世界遺産を旅している。その
現場でもピクトグラムは、大役を担っている。文
字が並んだ説明文よりも、明らかにピクトグラ
ムを使用する方が洗練された景観を出せるた
め、必ず設置されるものとなったからである。京
都の看板の規制などをご存知の方も多いと思
うが、品格を誇る観光地では、掲示物に対して
の色や面積の制限が多い。視認性が悪ければ案
内としての役目を果たせず、目立ちすぎると街
や建造物との調和が乱れるという難題に、世界
中のデザイナーが取り組んでいるのだ。屋外で
はやわらかく周囲の景観を反射するステンレ
ス鋼板の使用を、背景が芝生の場合には緑にペ
イントした鋼板に黒や茶色のフレームを使用
することが一般的だが、それらが完成するまで
には、何度も地道なテストが行われていること
はあまり知られていない。